ダパダイエットとは

「ダパ」は、有効成分ダパグリフロジンを短くした呼び方です。医療用医薬品の販売名としては、フォシーガ錠が知られています。選択的SGLT2阻害剤で、処方箋医薬品です。医師の処方箋がなければ、薬局で自由に買える薬ではありません。

国内の添付文書に書かれている効能は、2型糖尿病、1型糖尿病、慢性心不全、慢性腎臓病です。慢性心不全は、標準的な治療を受けている患者に限るとされています。慢性腎臓病は、末期腎不全又は透析施行中の患者を除く、とされています。肥満治療やダイエットは、効能の一覧に入っていません。

糖尿病の血糖を下げる目的では、食事療法と運動療法を十分に行ったうえで、効果が不十分な場合に限り考慮する、とも書かれています。1型糖尿病では、適切なインスリン治療を十分に行ったうえで血糖コントロールが不十分な場合に限られ、インスリン製剤の代わりにはなりません。

ダイエットだけを目的に使うことは、承認された効能の外側です。公的保険がきく治療は、承認された効能の範囲で医師が必要と判断したものが基本です。外側の使用は、自由診療として扱われることがあります。外側だから必ず悪、という話ではありません。外側のまま、診察も検査もなく飲み始めることが危険です。

承認されている4つの効能と適応外の図
承認されている効能は4つで、ダイエットはその外側にあります。

医師に「痩せたくて調べた」と話しにくい気持ちは、自然なものです。その恥ずかしさを理由に、誰にも言わず薬を始める必要はありません。使わないと決めることも、診察で目的をそのまま伝えることも、どちらも選べます。

ダパダイエットの効果

糖が尿に出る仕組み

SGLT2は、腎臓の近位尿細管で糖を再吸収する輸送体です。ダパグリフロジンは、この再吸収を抑えます。体に戻るはずだった糖の一部が、尿といっしょに出ます。添付文書は、この尿中グルコース排泄の促進により、血糖コントロールが良好でも脂肪酸の代謝が進み、ケトーシスからケトアシドーシスに至ることがある、と説明しています。

腎臓で糖を戻す働きを薬が抑える流れの図
薬は腎臓が糖を体に戻す働きを抑え、戻らなかった分が尿に出ます。

食欲そのものを抑える、という記載は添付文書の作用にはありません。食事量が増えれば、尿に出た分は食事で埋まります。甘いものを我慢しなくてよい、という約束には読めません。

尿に出る量には、試験の条件があります。インタビューフォームにある日本人の2型糖尿病の方36例の試験では、プラセボと2.5mg、10mg、20mgに分け、14日間投与しています。投与14日目の24時間で、10mgの群の累積尿中グルコースは71.4g、2.5mgの群は41.6gでした。36例は試験全体の人数です。承認用量は1日5〜10mgです。20mgの数値は、通常の用量の話として使いません。

このグラム数は、2型糖尿病の方を少人数で見た薬の作用です。ダイエット目的の人の平均でも、体脂肪が減った量でもありません。検索結果で見かける「1日200kcal」のような換算を、この記事では体重が減る目安としては書きません。条件を外したカロリーは、誤読しやすいためです。

腎機能が落ちると、尿へ出る糖は少なくなります。添付文書は、糖排泄効果は腎機能に依存する、と書いています。中等度の腎機能障害では、血糖を下げる効果が十分に得られない可能性があり、投与の必要性を慎重に判断する、ともされています。

最初の1〜2週間に減るもの

飲み始めに体重計の数字が動くと、脂肪が落ちたと感じやすい時期です。添付文書は、利尿作用により多尿や頻尿があり、体液量が減ることがある、と書いています。早めの変化には、水分が体の外に出た分が混ざります。

何日目までが水分で、何日目からが脂肪、という区切りは添付文書にありません。最初の1〜2週間という言葉は、読者が感じやすい時期の呼び名です。その期間の数字だけを、痩せた成果とは呼ばないでください。水分が戻れば、数字も戻ります。

体重計とコップの水の水彩イラスト
飲み始めの数字の変化には、水分が体の外に出た分が混ざります。

口が渇く、トイレが近い、立ちくらむ、といった変化は、効いているサインとは限りません。脱水の入口のことがあります。水分をがまんして数字を落とす使い方は、添付文書の注意と逆です。

どれくらい変わるか、変わらないとき

添付文書には、体重減少が報告されているため、過度の体重減少に注意する、とあります。何キロ痩せる、という目標値はありません。検索で並ぶ「数ヶ月で数キロ」は、この記事では採用しません。出典を添付文書に置けないためです。

変わらないときに落ち込みやすいのは、自分だけが効いていないと感じるときです。尿に出る糖の量は人により、食事が増えれば差し引きは小さくなります。食欲を主に抑える薬ではないので、食べる量が戻ると、期待した変化が起きにくいことがあります。時間とお金を無駄にした感覚は、その期待の大きさから来ます。失敗の証明ではありません。

血糖コントロールの目的で3か月投与しても効果が不十分な場合は、より適切な治療を考慮する、と添付文書にあります。これは糖尿病の血糖の話です。ダイエットの達成期限としては書かれていません。数字が動かないときに、自分で量を増やす判断はしないでください。続けるかどうかは、診察で決めます。

危険性と副作用

危険は、全員に同じ強さで来るものではありません。添付文書は、体の状態ごとに注意を分けています。

投与しない相手として書かれているのは、成分で過敏症状が出たことがある人、重症ケトーシス、糖尿病性昏睡又は前昏睡の人、重症感染症・手術前後・重篤な外傷のある人です。昏睡や重症感染の状態では、インスリン注射による血糖管理が必要になる、と理由が書かれています。

妊婦、又は妊娠している可能性のある女性には投与しない、とされています。糖尿病がある場合はインスリン製剤などを使う、とも書かれています。授乳中は授乳しないことが望ましい、とされています。小児を対象に、有効性と安全性を見た臨床試験は実施されていません。

脱水が起きやすいのは、血糖コントロールが極めて不良な人、高齢者、利尿薬を使っている人です。高齢者は、口の渇きに気づくのが遅れるおそれがあります。腎機能が低下している人、水分を自分から取りにくい人も、体液が減りやすい側です。脱水に続いて、脳梗塞を含む血栓・塞栓が起きた例が報告されている、と添付文書にあります。

尿路感染や性器感染があると、症状が悪化するおそれがあります。別の集計表では、性器感染(カンジダなど)は5%以上、尿路感染(膀胱炎など)は1〜5%未満の欄です。重い段階では、腎盂腎炎、外陰部及び会陰部の壊死性筋膜炎(フルニエ壊疽)、敗血症に至ることがある、と重大な副作用に書かれています。

仕事中にトイレが近くなる、移動中に陰部のかゆみや不快が出る、人に説明しづらい。こうした生活の困りごとは、副作用の名前より先に来ます。旅行や会食の前に、水分とトイレの予定を考えずに始めると、薬の作用と予定がぶつかります。不快を一人で抱え込まず、診察で「この症状は薬と関係があるか」と聞いてください。

ケトアシドーシスは、血糖が高くなくても起きることがあります。起きやすい条件として、1型糖尿病、インスリン分泌能の低下、インスリン製剤の減量や中止、過度な糖質摂取制限、食事が取れない状態、感染症、脱水が挙がっています。早く痩せたいから糖質を極限まで抜き、この薬を重ねる組み合わせは、添付文書が注意する側です。

他の糖尿病薬と併用すると、低血糖が起きることがあります。高所作業や車の運転をする人には、その説明が必要です。

医薬品副作用被害救済制度の「適正な使用」は、原則として添付文書の効能・効果、用法・用量、使用上の注意に沿った使用です。個別の事例は、医学・薬学の水準から総合的に判断されます。ダイエット目的のように承認された効能と違う使い方は、この原則から外れ、救済の対象にならないことがあります。ならないと決めつける条文ではありません。対象になると期待して始める理由にもなりません。

添付文書が特に注意する5つの状態の図
添付文書が特に注意しているのは、この5つの状態です。

ちなみに、どの注意が自分にあてはまるか分からないときは、診察の前にLINEで聞くこともできます。薬を使うかどうかを、ここで決める必要はありません。

口コミの読み方

「ダパダイエット 口コミ」の検索結果には、通販のレビューと、個人の記録が混ざります。クリニックの説明文とは、別の種類のページです。星の数や体験談を、この記事では集めません。成功談も失敗談も、あなたの体の結果ではないためです。

読むときは、次の4点だけを見てください。

  • 誰の体の話か。糖尿病の治療中か、体重を落とすことだけが目的か
  • 何週間の話か。飲み始めの水分の変化と、その後を分けているか
  • 食事、運動、他の薬と同時に何をしていたか
  • やめたあとに、何が戻ったと書いてあるか

この4点が無い口コミは、気持ちの記録としては読めても、薬の効果の証拠にはなりません。陰部の不快や頻尿は、書きにくく、書かれていても誇張や勧誘が混ざります。値段や店の名前で優劣を付ける読み方は、ここではしません。

口コミを読むときに見る4点の図
口コミは、この4点がそろっているものだけを目安にします。

騙されたくない気持ちは、もっともなものです。その気持ちの行き先を、通販の購入ボタンにしないでください。個人輸入は、自分で使う場合に限る配慮であり、品質が国内と同じように確認されたものではありません。健康被害は自己責任になることが多く、個人輸入代行と称する勧誘もあります。厚生労働省と「あやしいヤクブツ連絡ネット」が、そのリスクを説明しています。

やめるとどうなるか

やめると、尿へ糖を出し続ける作用は止まります。食事の量が服用中のまま、またはそれより多ければ、体に残るエネルギーは増えます。体重が戻る余地は、そこにあります。何ヶ月で何キロ戻る、という数字は添付文書にありません。戻ることへの不安を、依存という言葉だけで片付ける必要もありません。出口を先に考えていないと、不安だけが残ります。

カレンダーと錠剤シート、窓の光の水彩イラスト
やめる日だけでなく、やめたあとの食事と水分も先に決めておきます。

やめる前に決めておくことは、薬のスイッチを切る日だけではありません。

  • 食事を、薬に頼る前の量へ急に戻さない
  • 水分を、がまんしていた状態から元に戻す
  • トイレの回数や口の渇きが、やめたあとにどう変わるかを見る
  • 吐き気や腹痛が出たら、自己判断で様子を見ない

添付文書は、SGLT2阻害薬を中止したあとも、血中の半減期から予想するより長く、尿糖とケトアシドーシスが続いた例がある、と書いています。健康成人男性6例に2.5mg又は10mgを単回で飲んだとき、最高濃度の中央値は2.5mgで投与1時間後、10mgで1.25時間後でした。半減期は2.5mgで約8時間、10mgで約12時間です。作用の残りは、その時間でゼロになるとは限りません。やめた翌日に、観察が不要になるわけではありません。

糖尿病、慢性心不全、慢性腎臓病で処方されている人が、ダイエットの記事を読んで自分で中止するのは、別の危険です。中止は、処方した医師と決めてください。

岐阜市のよしの内科は、糖尿病でない人が食べ過ぎを前提に、この系統の薬でダイエットすることを勧めていません。当編集部や提携医療機関の見解として載せる文ではありません。売り手とは違う医師の意見が、公開されているという事実だけを置きます。

リベルサス・マンジャロとの違い

どちらが必ずより痩せる、という比較はしません。探しているのが「一番効くもの」でも、先に見るのは、毎日の負担と、今の体が避けるべき条件の方です。

ダパグリフロジンは、1日1回の錠剤です。尿へ糖を出す薬で、食欲を主に抑える記載はありません。負担は、トイレ、水分、陰部の不快、脱水、ケトアシドーシス側に出やすいです。糖質を極端に抜く食事と重ねると、ケトアシドーシスの注意側に入ります。

リベルサスは、有効成分セマグルチドの錠剤です。効能は2型糖尿病で、食事療法と運動療法を十分に行っても効果が不十分な場合に限り考慮する、と添付文書にあります。維持量は1日1回7mgで、3mgから始めます。空腹時に、コップ約半分の水とともに飲み、服用後少なくとも30分は飲食や他の薬を避ける、という決まりがあります。分割したり、かみ砕いたりしません。負担は、朝の手順と、胃腸症状の側に出やすいです。

マンジャロは、有効成分チルゼパチドの皮下注射です。効能は2型糖尿病で、同じく食事と運動を十分に行ったうえで考慮する、とされています。週1回で、2.5mgから始め、4週間後に5mgへ上げる使い方です。同じ曜日に打ちます。負担は、注射そのものと、胃腸症状の側に出やすいです。針が苦手な人、自分で打てる場所と時間が取れない人には、錠剤より重い条件になります。

リベルサスもマンジャロも、国内の効能はダイエットではありません。食欲が抑えられれば食事は減りやすい、尿へ糖が出れば食事が同じでも差し引きが変わる、という仕組みの違いです。生活に載せられる方が、その人の候補です。効く方を急いで両方を自己判断で重ねる話ではありません。

3つの薬の飲み方と負担を並べた表
優劣ではなく、毎日の負担と向かない条件で見比べる表です。

そこで、どれなら生活に載せられるかを、自分の体の条件と一緒に医師に見てもらう方法があります。比較を自分一人で終わらせなくて構いません。

診察料は0円で、処方するかどうかは医師が診察して決めます。使わない、という結論でも構いません。

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よくある質問

ダパグリフロジンはダイエットに危険ですか

薬の名前が、そのまま危険という意味ではありません。妊娠の可能性、脱水しやすい状態、尿路や性器の感染、過度な糖質制限、重症の感染や手術の前後では、添付文書が特に注意しています。自己判断と通販は、その注意を飛ばします。詳しくは「危険性と副作用」に書きました。

ダパはダイエット薬として使えますか

国内の効能に、肥満治療やダイエットはありません。医師が診察したうえで、承認とは違う目的を検討することはあります。その場合も、禁忌と副作用の説明を受けてから決める話です。通販で自分で始める使い方は勧めません。

ダパグリフロジンはリバウンドしますか

やめると、尿へ糖を出す作用は止まります。食事が元に戻れば、体重が戻る余地があります。何キロ戻るかは、添付文書に書いてありません。治療目的で処方されている人は、この記事だけを理由に自分でやめないでください。

ダパグリフロジンとリベルサスどっちが痩せますか

どちらが必ずより痩せる、とは答えません。ダパグリフロジンは尿へ糖を出す薬です。リベルサスは、食欲に関わる飲み薬で、空腹時に飲む決まりがあります。負担の違いは「リベルサス・マンジャロとの違い」に書きました。

ダパリルは痩せる効果があるの?

「ダパリル」は、通販の検索結果に出ることがある呼び名です。この記事が勧める商品名ではありません。成分として語られているのは、ダパグリフロジンです。尿に糖が出る作用は「ダパダイエットの効果」に、危険性は「危険性と副作用」にまとめました。購入の手順は書きません。

診察で決めること

今は使わない、で終えてよい人を先に置きます。

  • 妊娠している、又はその可能性がある
  • 授乳中である
  • 未成年で、この薬の試験の対象になっていない
  • 重症の感染症、手術の前後、大きなけがのあとである
  • 糖質を極端に抜く食事と、この薬を重ねようとしている
  • 通販や個人輸入で、診察を飛ばそうとしている
  • 医師に目的を言うのが怖く、隠したまま始めようとしている

使うかもしれない人は、診察で次を伝えてください。今の病気と薬、妊娠の可能性、食事の抜き方、トイレや陰部の不安、やめたあとの生活を考えているか。処方できるかは、診察した医師が判断します。この記事は、その判断の代わりになりません。

ちなみに、オンライン診療では、この記事で挙げた条件(今の病気と薬、妊娠の可能性、食事の抜き方、トイレや陰部の不安)を問診で先に伝えられます。

目的をそのまま伝えて、処方しないという判断も含めて、医師と決めてください。

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LINEで相談する(スタッフが答えます)診察料0円。処方できるかは医師が診察して判断します。

参考情報・出典

※本コラムは、医薬品やオンライン診療について正しく理解していただくための情報提供を目的としています。診断や処方は医師の診察に基づいて行われます。